梅雨の晴れ間の緑が目に眩しかった。
あれからもう1ヶ月以上経っていた。 その間、決して表舞台には出なかったが、この壊滅劇の立役者の一人であったフェルナンド・ミナミこと槇村秀幸は 急激な断薬は激烈な禁断症状を生む。全身の痙攣、幻覚、せん妄・・・ 二人が7年の歳月を乗り越えたのも当然の結果だった。 「で、どうするんだよ冴子とは」 めったに顔を出さない元相棒が訪ねてくるなりこう訊いてきた。 「どうするって、何を」 冴子との結婚――7年前も考えなかったといえば嘘になる。 だが、昔の彼ならそこで無理やりにでも壁をよじ登るか来た道を引き返すかしたはずだ。だが今は―― 「結婚は・・・無理だろうな。だからといって『はいそうですか』と別れるつもりはないが」 今の彼には「壁の前で立ち止まる」という選択肢もあった。 「でもお前はそれでいいとして、冴子はどうするんだ?あいつは一応エリートだぜ。 そう、槇村の悩みの種もその『女狐』だった。 |
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槇村がその『女狐』の父親から呼び出しを受けたのは梅雨の晴れ間が覗いたとある日だった。 場所は警視庁の総監室――緊張しないはずがない、二重、三重の意味で。 取引めいたオプションで法の追及は免れたとはいえ、彼はユニオンの一員、 そしてシンセミーリャの幹部、フェルナンド・ミナミであった。いつ当局が掌を返して彼の罪を暴こうとしてもおかしくはない。 ましてそのような男とエリート警官が親密な関係にあるとは言語道断。 野上総監個人としても、槇村はまさしく娘にたかる『悪い虫』であった。 「総監、槇村さんをお連れしました」 彼女と恋人同士だったころ、このようなシチュエーションを思い描かなかったといえば嘘になる。 「槇村秀幸君だね」 思わず敬礼で返す。よくぞ体が覚えていたものだ。 「何でそれを――」 とっさのことに槇村も、そして冴子も狼狽してしまった。 「しかし・・・なぜ?」 そっと右手を下ろしながら槇村が尋ねた。 「君のお父上との約束だったんだ、槇村刑事との」 |
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Promise 〜遠い過去、そして未来 |
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ということでCH’いよいよ再開です。 とはいえ全くシティーハンターとは言えない話が続きますが どうかしばらくはご勘弁のほどをm(_ _)m |