prologue

XYZ――もう後がない。
皮肉にもこの3文字が全ての始まりだった。

1985.3.31

「依頼人との交渉は俺が行くぜ――今日は、な」
「いや、それは俺の役目だ」

今夜の7時、シルキィクラブで。それが今回の依頼だった。

「シルキィクラブに呼びつけるなんてのはろくな依頼人じゃねぇよ」
「・・・かもな。しかし一応――」

そう言いかけると撩は銃を手渡した。コルト・ローマンMkIII、俺が警察を辞め、撩と組み始めたときに彼から受け取ったものだ。

――お前は今日からシティーハンターの相棒なんだ。
これくらいの銃を持ってなきゃ仕事にならんだろう。

しかし俺の仕事はあくまで依頼人との接触と情報収集、銃を持ってのドンパチは撩と分担は決まっていた。このローマンだって、普段は彼のところに預けっぱなしだった。

「シルキィクラブは素人の店じゃあない。護身用に一応、な」

しかし俺の手は差し出された銃を押し戻した。

「悪いがお守りにしかならんな。俺の腕はもう錆びついている」



PM 7:00

――少々格好つけすぎたか?

素人の店じゃない、という撩の言葉は当たっているようだった。外見は豪華なサパークラブ、ステージ上では眩しいほどのライトを浴びてきらびやかな衣装のダンサーたちが踊っていたが、俺の目には多少高級なストリップ程度にしか見えなかった。
途端にいつも軽いままの懐が物足りなく思えてきた。

――後悔?かもしれないな。

案内されるまま奥の部屋へと向かう。今さら泣き言を言ってもどうにもならない、今はこの状況で自分のできるだけのことをするだけ、あとは撩の仕事だ・・・そう覚悟を決めるとカーテンの中に足を踏み入れた。

やはりろくな依頼ではなかった。殺しの依頼、それもヤクザの大ボスだ。到底撩の受ける話だとは思えない。そして俺自身も――。

「確か妹さんがいましたね。その娘のためにも・・・」

そうだ、今日は妹――香の20歳の誕生日だ。自分の誕生日だというのに、あいつは腕によりをかけてご馳走を用意していることだろう。そして今年は撩も呼んで祝おうと言ってきた。ほんの数日前に会ったばかりだという俺の相棒を――。

二日ぶりに帰ってきた夜、香は撩に会ったと言った。
初対面でいきなり殴られたこと、男呼ばわりされたこと、そしていきなり人身売買組織つぶしの囮にされたこと――聞いているだけで相棒への怒りがふつふつと湧き上がってきたが、香の口調は決して彼を非難するだけではなかった。

「それであいつったら凄いんだぜ。メタルジャケット、だっけ?
その跳弾の火花だけでこっちの位置が判っちまったんだから」

いや、それは撩の腕だけを認めていたのではない。その奥にある人間としての強さ、優しさに気づいたのかもしれない。香は前々から俺の仕事を、口ではやかましく反対していたが、内心ではずっと心配していたのだろう。だが俺は撩と言う男にほれ込んで、裏の世界に足を踏み入れたのだ。その撩の度量に触れれば、あいつもこれからはそれほど心配する必要もないはずだ。
現にあいつと撩は会ってまだ間がないというのにずいぶんと打ち解けている様子だった。
まさか、もしかしたら香はあいつに・・・!?
いや、自分でも妹のことにかけては心配性なのは判っている。だが撩が、あの『新宿の種馬』が香に手を出すとなると――。確かに俺は撩の人間としての度量に信用を置いている。しかし奴の下半身は別だ、矛盾しているようだがあれほど信用ならない男はいない。
しかし――、香とじゃれあっているときの撩の表情は、俺でも今まで見たことのないものだった。あいつは、美女に鼻の下を伸ばしているときでも、常にどこかまるでむき出しの刃のような危うさを放っていた。しかし香といるときはその危うさが、わずかばかりだが薄れているように感じたのだ。俺でさえ溶かすことのできなかった撩の心を、香なら溶かせるのかもしれない。
それにあいつももう20歳だ、もう保護者は卒業かもしれない。

だが、その前に俺には残っている仕事がある。

「黙れ!貴様らが殺し合うのは勝手だ。
だが俺の身内に手を出したときには命はないと思え!」

そうだ、早くここを去って帰らなければ。香に真実を伝えなければならない、それまで死ぬわけにはいかない。
後ろの連中が銃を抜く。振り向かなくても俺だってそれくらいは判る。こっちは丸腰だが、目の前にはナイフがあった。即座に二つ、後ろに放り投げる。

「悪魔に魂を売る気はない!」

そう言い捨てると席を立った。

「依頼を受ければその後仲間にもと思ったが・・・」

そして首筋にちくりとした痛みが走った瞬間、俺の意識は急速に遠のいていった。

「槇村さん、あなたは少々知りすぎたようだ」

――かおり・・・!

瞼の裏に浮かんだのはたった一人の家族。今日から妹だと言われてやってきた赤ん坊の香、母の死を理解できずにただ呆然と見送った香、父の死に泣きじゃくった香、小学校に上がり、中学生になり高校生になって――お前にはまだ伝えなきゃならないことがあるんだ!
しかし次の瞬間、脳裏に浮かぶ香の肩を、相棒がしっかりと掴んだ。そして彼の目がこっちを向く。それはまるでこう言っているかのようだった――心配するな、香のことは任せろと。そして二人の姿はすっと消えた。
それと入れ替わるように浮かんだのは彼女の姿だった。たった一人で悪と、自らの運命と立ち向かおうとする凛々しい、しかし寂しげな横顔が・・・。

――さ、え、こ・・・


「やっぱ降りだしたか。こんな日に出かけるのはパスしたいねぇ」

先方とごねているのか、帰りの遅い相棒を待ちくたびれて俺はアパートの玄関先に立っていた。右手には傘、左手を突っ込んだポケットの中には槇村からの預かり物が入っていた。ベルベットのケースに収まったルビーの指輪。

昼間、泣き出しそうな空の下、槇村は妹の出生の秘密を語った。

「この香の母親の形見だという指輪を親父は時どき見ながらつぶやいてた・・・悲しそうにな。
――香が20歳になったらこれを渡す・・・真実とともに――と」

槇村香、この相棒のたった一人の家族。いつもは冷静なあいつがこと妹のことになると目の色を変えるさまは意外ですらあった。その妹が、血がつながっていないとはな。いや、むしろ赤の他人であったからこそ愛しかったのかもしれない。





その妹と会ったのはつい5日前だ。いや、正しくは「再会したのは」だろうか。初めて会ったときアイツはまだ高校生のガキだった。俺の跡をつけカメラを向けていたシュガーボーイ、いや、女だって最初から判っていたさ、初めて会ったときから。

あのときアイツは俺の目を見て怯えていた。訳もない、まだまだ『暗い瞳の死神』を引きずっていた頃だ。ちょっと威嚇すればもう二度と俺たちに構うことはない、現にアイツは部屋を飛び出していった。なのに――。

二度目に俺の前に、しかも車の前に飛び出してきたときのアイツの眼は怯えたガキの眼じゃなかった。真っすぐに俺の眼を、心を射抜いてきた。眼と眼を合わせるのは決闘の合図、アメリカではちっとは名の売れたスイーパーだった俺にガンを飛ばすような命知らずにはしばらくお目にかかっていなかった。

――たかだかガキのくせに、何ていう眼だ・・・。

しかしその眼から次の瞬間涙があふれ出た。

「ア・・・アニキを!おれのアニキを・・・」

――アニキ?

俺の脳裏に浮かんだのは相棒の姿。両親を失い、妹とたった二人きりの。その相棒が、昼間こぼしていたから。

(・・・んな訳ないよな)

ただ単に、昨日の今日だからふと思い出しただけだと、片や妹を思う兄がいて片や兄を思う妹がいる、ただそれだけの話だとあのときは思った。

アイツは逃げなかった。怪我したくなきゃ俺から離れるな、その言葉どおり俺のもとを離れなかった。強がっていただけかもしれない。だが強がれるのも才能のうち、

――こいつ、大物になるかもしれねぇな。

心のどこかでそう思っていた。なのに一仕事終わった途端、張り詰めた気が抜けて、気を失ってしまったようだ。

「たく、世話のかかるシュガーボーイだ」

目を覚まさないよう、そっと背負う。あいつは安心しきったように体を俺に預けていた。

――寄りかかる相手が違うはずだろ?

俺は殺し屋だ、気がついたら血と硝煙にまみれていた、その中でしか生きていけない男だ。なのに何でお前はそんな男の背中で・・・安心して、眠ることができるのか?お前が頼るべきは、そのアニキとやらの、血のつながらないアニキの背中のはずじゃないのか。きっとそいつは俺と違って真面目で優しくて、妹思いの男なんだろう。俺の相棒のように・・・。

しかし背中にかかるその重みは心地よいものだった。頼られている、信頼されている喜びというやつか。そんなもの、俺とは無縁だったはずだ。だがクーパーまでの短い道のり、彼女の重み、そして体温を感じている間、心の中に小さな灯りがついたような気がした。それはずっと忘れてしまっていたような――。



あれからもう何年経つだろうか。

「だ、誰がおとこだぁ?この野郎・・・」

確かに彼女はあのときのシュガーボーイだった。まさか再び出会えるとは思わなかった。殺し屋を身の上相談の相手に選んだ変わった子・・・だが、結局何の相談相手になれなかった。あの子は答えを出すことができたのだろうか、自分だけの力で――。
槇村が妹の話をするたび、俺の頭にはあの子の顔が浮かんだ。初めて出会ったときのすくみ上がった顔、車の前に飛び出したときの張り詰めた瞳、そしてクーパーの助手席の、安心しきったような穏やかな寝顔――。
もし、仮にまた会えることがあったなら、そのときは彼女なりの答えを聞けたらと思っていた。しかし・・・、

「待て!この売女、一発殴らせろぃ!」

――あれがあのとき、怯えた眼で俺を見ていた“ぼうず”か・・・?

(こりゃ心配する必要なかったな・・・)

どうやらとっくの昔に答えなんて出ていたようだ。あれから彼女は『アニキ』について疑うことも、悩むこともなく過ごしてこられたようだ。そのあまりの変貌振りにあっけに取られながらも、俺は心のどこかで安心していた。
歳月というのは恐ろしい、これほどまでに人を変えるとは・・・。しかしその3年の歳月は、少女を確実に女性へと変えていた。

「なるほど・・・よく見ると君は確かに美人だよ、うん」

連続美女失踪事件の、格好の囮だった。誰でもよかったわけじゃない。彼女が気の強い、単なる男勝りだったからじゃない。彼女のクソ度胸を知っているから、あのとき敵の真っ只中、震えながらも俺についてきた彼女だったから・・・。信頼しているからこそ、俺は敢えて彼女を死地に送り込んだ。いわばあの娘はかつて危険を共にした“戦友”だったから――たった一度だけだったが、それでも俺はなぜか彼女につかの間のパートナー以上の信頼を置いていた。

――でもまさか、槇村の妹だったとはな。

確かに驚いたが、それは同時にあのときの俺の勘は間違ったってなかったことだ。そして道理で、再会したばかりの彼女に俺があれだけ危ない橋を渡らせられたのかも納得した。“相棒の妹”なら任せられる、と知らぬ間に踏んでいたのだ。だが、それだけじゃないのかもしれない。
会ってまだ間がないにもかかわらず、俺たちは槇村をはさんで打ち解けていった。香は俺に対してもはや物怖じすることはなく(平気でラリアット喰らわすし)、俺も香の前では『シティーハンター』ではない、ありのままの冴羽撩でいられた。
槇村と組んで、俺はあれから変わったかもしれない。少なくともむやみに人と距離を置かなくなった。だが、槇村とはあくまで仕事上のパートナー。それ以上に、俺の心に踏み込んできたのは香が初めてだった。





いったいどれだけ雨の中立ちつくしていただろうか。一向に降り止む気配のない中、託された指輪だけが嫌に重みを増していった。

「撩、悪いがこれを預かってもらえないか?」

あの後公園で、こう言って槇村は指輪のケースを俺に託した。

「おそらく依頼人のとこから直接帰らなきゃならなくなりそうだ。
かといって持っていって失くしたら元も子もないからな。
だから、俺が帰ってくるまで大事に保管しておいてくれ」

そう言って奴はシルキィクラブへと向かっていった。もちろん、その後帰ってきて、妹の誕生日を祝い、俺から預かり物を受け取るつもりだったはずだ。

――これを妹に手渡すんだろう?真実とともに・・・。

あの几帳面で時間にうるさい槇村が、よりによって大事な妹の誕生日に約束を違えるはずがない。もはや3月31日も終わろうとしていた。

「さぁて、帰りの遅い槇ちゃんを迎えに行きますかね」

口調はあくまで軽く、しかしまだ見ぬ敵に闘志を滾らせていた。






「そうか、やはりシルキィクラブに入っていったのが最後か」
「ああ、それ以後は誰も槇さんの姿は見てないってさ」

そう言って知り合いの情報屋はうつむいた。

「今度の依頼人って、ユニオン・テオーペなんだろ?
シルキィクラブっていったら連中の店じゃないか」

ユニオン・・・テオーペ。その言葉を聞いたとたん、心臓が鉛のように重くなる。やっぱりという落胆とまさかという驚きと。いつかは決着をつけねばならない敵とはいえ、あくまで俺個人の闘いだ。いくら相棒とはいえ槇村を巻き込むわけにはいかなかった。あいつには守るべき家族がいる、彼女のためにも――。

「・・・なぁ撩ちゃん、PCPって知ってるかい?」

情報屋の眼が怪しく光った。その瞬間、全身に戦慄が走った。
PCP――エンジェルダスト!20発の銃弾を打ち込まれても倒れはしない、死をも忘れる狂人を生み出す悪魔の薬・・・。脳裏にフラッシュバックするのは、スコールに濡れたジャングルの惨劇。銃弾の雨の中、ナイフで、そして素手で次々と敵の兵士を屠っていく悪魔。
その姿が目の前の男と重なった。奴は力を誇示するかのように、鉄パイプを素手で捻じ曲げた。

「今ごろ槇さんもこうなってるかもよ・・・!」

もはや原形をとどめていない鉄パイプを手に襲い掛かる悪魔にマグナム弾を一発残らず打ち込んだ。我ながら冷静さを欠いていたかもしれない。が、エンジェルダストの生み出した悪魔がこれしきのことで殺されるわけがない。奴はまるでゾンビのように、血まみれのまま立ち上がった。

「後ろだ!」

ベルトからワイヤーを引き出し、男の首に巻きつける。

「もはや死霊を救う術はない。俺にできるのは安らかな死だけだよ――」

記憶の中の悪魔とともに、奴の首を跳ね飛ばした。



客のはけたシルキィクラブはそのもう一つの顔――ユニオン・テオーペの拠点としての顔を如実に映し出していた。高級な社交場を思わせる建物は照明が落ち、不気味なほど静まり返っていた。

「誰だっ!?」
「相棒の帰りが遅いんでね」
「貴様・・・表の用心棒は?」
「素面の連中なんか束になったって俺の敵じゃないさ。
ま、ヤク漬けの用心棒ならてこずったかもしれんがな。
売るほどあるんだろう?エンジェルダストなら・・・」
「シティーハンター・・・冴羽撩か」

椅子にどっかと腰掛けていた白髪の男がこちらを向いた。

「槇村はどこだ?」
「哀れな君の相棒ならもうここにはおらんよ。ふふふ・・・
選択さえ誤らなければこんなことにはならなかったろうに」
「ユニオン・テオーペの日本進出――そんなことに俺らは巻き込まれる覚えはないぜ」

――少なくとも槇村は、だ。あいつは俺のとばっちりを喰らっただけだ。

「それは、君らがユニオンのブラックリストに載ってしまったからだよ――
だがね、私は君の腕を見込んでいる。だから君の友人にも私の配下となるよう持ちかけた。
だが彼は選択を誤った」

奴の一言一句に心がざわめく――槇村はまだ生きているのか、それとも・・・。ユニオンの狙いはあくまで俺のはずだ。俺をおびき寄せ、仲間に引き入れるなり消すなりしてしまえば槇村は連中にとってもはや用済みとなってしまう――。

「――気障な槇村のことだ、奴は多分こう言ったはずだ。悪魔に魂は売らん――と」
「さぁどうかな?」

俺は耳を疑った。

「誰だって我が身がかわいい、正義や信条などより命の方が大切なはずだ。
まして命より大事な者がいるのならなおさら――」

ふっと脳裏に浮かんだのはあいつの妹――香。連中のことだ、奴らの魔の手はすでに彼女にも伸びていてもおかしくはない。しかし、まさか槇村が・・・。

「そんなはずはない!」
「ならこう思うことだな、君の知っている彼は死んだと」
「――それじゃあ、あいつの仇を討ってやらにゃならないな」

その言葉が逆に、彼の生存を確信させた。






夜明けとともに雨は上がったようだ。階段を上る足取りが重いのは、手にした荷物の所為だけではなさそうだ。

「アニキ!?」

俺の顔を見た瞬間、彼女の表情は落胆、そして恐れへと変わっていった。

「残念だがご馳走を食いにきた訳じゃあない」
と言ってポケットから指輪のケースを取り出した。昨夜友から託されたもの。まさか槇村も、俺がこれを手渡すことになろうとはあのとき思わなかっただろう。

「アニキの“形見”だ。君へのプレゼントだったらしい・・・」

嘘を・・・吐いた。槇村は死んだと。彼女のためだった。兄が殺されたと聞いたらきっと仇をとると言い出すだろう、たとえ相手が強大な麻薬組織だとしても。あのとき脇目もふらず車の前に飛び出してきた、香はそういう奴だったから。
俺は彼女の前にて手にした荷物――トランクを開けた。

「ユニオンの店から巻き上げてきた金だ。これを持ってお前は逃げなきゃならん」

そうだ、槇村は死んだのだ。俺の、そして彼女の知っている正義感にあふれお人好しで、そして高潔な槇村は――。だから香、お前はアニキのことを忘れてどこか遠くへ――血と硝煙の匂いの届かない遠くへ。これ以上、俺の過去に誰かを巻き添えにはしたくなかった。しかし、

「あんたには新しい相棒が必要でしょ?」

彼女は気丈にも涙を見せずにこう言った。やはり香は香のままだった。3年前、アニキを失いたくないと俺に掴みかかった、あのときの彼女のままだった。

俺はトランクを閉めると玄関をあとにした。ドアの向こうから香のすすり泣く声が聞こえた。あのとき――俺に掴みかかったあとこの胸にすがりつき泣いた、あの感触がはっきりと甦ってきた。





地下カジノ、ジェネラルの店と俺たちはユニオンの拠点を一つひとつ潰していった。香に気づかれないように、槇村の姿を探しながら。
しかし、ようやく敵の中枢に手が届きかけたそのとき、ユニオン・テオーペは日本を去っていった。そして友の足どりはぷっつりと途絶えた。



あのとき託されたのは指輪だけじゃないと、気づいたのはそれからもう少し後のことだった。



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