勝手に!Liner-Notes
〜Your TUBE+My TUBE〜


……ども、お久しぶりです。どのくらい久しぶりかというと、前回のリリースが2012年の“SUMMER ADDICTION”ですから、もう3年ぶりのライナーノーツです。ですがその分、今年は2枚組!……って1枚少なくないですか?【爆】 ですが3年待った甲斐があったというだけのアルバムになったと思います、今年は。そして2015年は記念すべきTUBEデビュー30周年!! 例年「アニバーサリーアルバムに当たり無し」というのが店主の個人的な印象ですが【泣】この“Your TUBE+My TUBE”、30th Summerに恥じないアルバムだと店主、胸を張ってお勧めできる二枚です。

まずは“Your TUBE”から。
……日本を代表するミュージシャンの間に飛び交ったオファー、「自分がTUBEの一員になったと仮定して曲を書いて、前田亘輝に歌わせてみませんか?」 それに応じた12組から持ち寄られたのは、自分たちのカラーゴリゴリのものから、彼らの思い描く「TUBEらしさ」全開のものまで千差万別。それらを迎え撃つは我らがTUBE、11曲総てとがっぷり四つに組んでのガチンコバトルロワイヤル【笑】 さぁ、勝つのはどっちだ!?

♪ おかげサマー ♪
Music&Lyric by 広瀬香美

おそらく今年の野外、オープニングはこれじゃないかという、イントロのラテンテイストのブラスがのっけから夏のお祭り気分を盛り上げるアップチューン。リアルにシーンが目に浮かぶ歌詞とノリの良さは「香美節」といっても過言ではないものの、それを圧倒的なヴォーカルの力で自分色に塗り替えてしまう前田亘輝、おそるべし。

♪ LOVE BEACH ♪
Music by TAK MATSUMOTO(B'z)
Lyric by TAKURO(GLAY)

デビュー前から親交のあるB'z松本氏からの提供曲ということで、ギンギンのハードロック。のはずが……能天気なほどに明るすぎる雰囲気は、もはや前田氏持ちキャラ【笑】の「渚の(自称)プレイボーイ」的な歌詞のせいだけではないはず。Tak MATSUMOTOもB'zでここまでネアカなロックはやらないだろうし、そこはTUBEが30年かけて築き上げた世界観あってこそ、というコラボの妙を感じる一曲。

♪ 湘南リグレット ♪
Music by 岸谷香
Lyric by 富田京子

最近、敢えてなのかやむを得ずなのか往年のハイトーンよりキーを落とし気味の前田氏が、思いっきり頑張ってます【苦笑】 って岸谷さん、思いっきり自分のキーで書いたでしょうw ちょっとオールディーズなフック混じりの爽やかなロックンロールってのはTUBEっぽくもありプリプリっぽくもあり……「ガールズバンド」の一言で言い切られがちなPrincess Princessに、一番近い男性バンドってのはもしかしたらTUBEだったのかもしれません。「ネアカなロックバンド」ってなかなか他に思いつきませんから。
「男はいつも未練なんだ」なんて、女性ロッカーが男性目線で書いた詞を男性ヴォーカリストが(女声並みのハイトーンヴォイスでw)歌うっていうねじれも、個人的には聴きどころかも。

♪ タイムトンネル ♪
Music&Lyric by 横山剣(Crazy Ken Band)

デビュー30周年を迎え、メンバーがもうじき全員50代を迎えよう【泣】というTUBEがこれから向かうべき方向性はこっちなのかもしれない、なんて思わせる曲。CKBっぽいR&Bテイストながら、あくまでTUBE向けということで爽やかにクールに、でも都会的で大人っぽく……いつまでも「夏だーっ!海だーっ!水着のおねーちゃんだーっ!!」っていう齢でもないですから、もう【苦笑】 でも、そんな心を忘れないTUBEでいてほしいというのもファンの本音ではありますが。

♪ 危ない女 懲りない男 ♪
Music by 藤井尚之
Lyric by 藤井フミヤ

この一枚の中でNo. 1のイチオシを挙げるなら、店主だったら迷わずこの曲。セクシーかつ濃厚なラテンのノリは、求められてる自分のカラー云々よりまず「TUBE(前田)に歌わせるんだったら」最優先の、いわば当て書き。それがまたドンピシャというか、よく判ってらっしゃるというか……だって80年代半ば、ともに「アイドルバンド」なんて不本意なくくられ方で芸能界を生き抜いてきた“同志”ですから。

♪ スコール ♪
Music&Lyric by 玉置浩二

今年の水バラはこれに違いない、と早くも断言できる珠玉のバラード。今から目に浮かぶよう、スコールのような噴水に打たれながら熱唱する前田さんの姿が……なんだけど、少なくともCD音源だと前田氏、歌い方が玉置さんの完コピ【泣】 まぁ、判らなくもないよ。店主だってカラオケ行けば意識しなくてもオリジナルの歌手をなぞってしまいますし、玉置さんはTUBEデビュー当時からすでに一線にいた大先輩。しかもRiders会報によれば、これでも少しは玉置カラーが抜けた方なのだそう。だったらむしろ、この曲を今後何年もステージで歌い続けて前田カラーで塗りつぶせたときこそ、この曲が『作品』となるタイミングだったんじゃないかなぁ……と思っていたら、すでに今年のホールツアーファイナル@東京国際フォーラムでその片鱗が。うーん、音源として永久保存版にするにはまだ早かったんじゃないでしょうか【涙】

♪ 湘南ラブストーリー ♪
Music by 西園寺瞳(氣志團)
Lyric by 綾小路翔(氣志團)

「前田さんにぶん殴られる覚悟で」とメッセージに書かれていたので、いったいどんな曲なのか怖いもの見たさ的なものがありましたが、彼らの「ヤンクロック」からは程遠い、爽やかで甘酸っぱい渚のBoy meets Girlなロックンロール・ラヴストーリー【笑】 どうやら彼ら、2曲用意してたらしく、件の「ぶん殴られる覚悟」はボツになった模様w
間奏でがらっと雰囲気が変わって「物語」が急展開してしまうアイディアは氣志團サイドのものなのか、それともアレンジャーさんのなのか、とにかく秀逸w

♪ 夏番長 ♪
Music 上原子友康(怒髪天)
Lyric by 増子直純(怒髪天)

これは収録曲の中でも、提供者の色が濃く出ている点で一二を争うのではなかろうか。いきなり野太いギターをバックに「30年間夏番長 春秋冬など目もくれず」ですからw もちろんそれに負けない前田節ではありません、完全にテクニックとパワーでねじ伏せてますww 武道館での初お披露目、そしてホールツアーではTシャツ姿の「応援団員」を従えてのパフォーマンスでしたが、野外だったら学ランで出てきそうな勢い【笑】

♪ 夏でも雪 ♪
Music&Lyric by 奥田民生

これも民生節全開な一曲【笑】 しかも冬の歌っていうひねくれ具合が民生さんらしいっていうか、でもそれがアルバム全体のいい変化になっているし、今年は一年通しでやるから12月の横浜アリーナにぴったりの曲を作ってくれてありがとうと言いたいところ。それに、これこそ「冬でもTUBE」という筋金入りのファンの心理を一番判っているなと。どんなに風が冷たかろうと、雪が降ろうと、前田さんの歌声を聴いていれば心は夏なんですから♪
民生さんらしい無造作サウンドと前田さんのヴォーカルの相性も意外とGood。AメロBメロはストレートでも、サビに向かって一気に盛り上がっていく力強さはさすが。

♪ 夏色のタイムカプセル ♪
Music by 織田哲郎
Lyric by 大黒摩季

TUBEの30年を語るのに外せないこの方からの久しぶりの提供曲。「自分なりの『夏だ!』『海だ!』感を出そうとした」というだけあって、レゲエテイストも織り交ぜつつの爽やかでキャッチ―なメロディですが、よく聴けば転調ありーの、激しい起伏ありーので結構な難曲でもあります。
作詞は大黒さんで「普段テレくさくて言えないような、スタッフや家族、ファンの皆さんへの超素直な気持ち」を形にしたというのですが……何だか織田さんからTUBEへの思いを代弁しているような気がするのは店主だけでしょうか? 「真新しいTシャツにはしゃいで駆け回ってた」の「Tシャツ」っていうのは『シーズン・イン・ザ・サン』の頃、衣装代が無い中何とか用意したTシャツとジーンズに、さらには『シーズン〜』の曲そのものにも重なるし、「限りあること知ってしまった」というのも、織田さんがその後遭遇した受難とも……でも「もう一度自分を超えてみせるよ」という最後のフレーズは、「まだまだお前らには負けないぜ!」という宣戦布告かとw そんな二組の絆に胸が熱くなる一曲です。

♪ この生命の限り ♪
Music&Lyric by 松山千春

……そういえば提供曲のほとんどが「夏だ!」「海だ!」で、TUBEのパブリックイメージってやっぱりこの程度なのか【泣】と、考えてみればがっかり。TUBEはそれだけじゃないのに……でも、そこは前田氏本人とも親交の厚い松山千春、締めのバラードは季語の一切無い、シンプルかつどストレートなもの。ある意味挑戦状w でも、それと正面から向き合って歌い上げてしまう前田氏のヴォーカルはさすが!夏バンド「だけじゃない」TUBEに是非とも痺れていただきたいです。



……とまぁ、TUBEのパブリックイメージの底の浅さ【泣】にファンとして嘆かわしく思う一面もありつつの、それがそれぞれのミュージシャンの個性というフィルターを通すとこれだけヴァリエーションが広がるのかと驚きつつ、でもそれらを再びTUBEカラーに染め変えてしまう彼ら自身の音楽的幅の広さがあったからこその異例の企画だったともいえるわけで。特に、やっぱり前田さんのヴォーカル♪ もともと声のヴァリエーションは多い方ではあるけれど、普段のアルバム以上に幅広い声域・テクニックを駆使しての「百面相」ならぬ「百面声」で魅せてくれました。それだけでも一聴の価値ありかと。
でも、これをお祝いの単発花火にしてはいけません。ここから受けた刺激を今度はTUBEのオリジナルという形でどれだけ取り込めるか、そう思うと来年のアルバムが楽しみで楽しみで……って出るよね!出すよね!?
でも「夏!」「海!」だけじゃ味気ない。そうじゃないTUBEも聴きたいんだよ!!という皆さま方、ご安心あれ。もう一枚、これもとっておきのをご用意しておりますので……


My TUBE”へ続く……