勝手に!Liner-Notes
〜Surprise!〜

いよいよ今年25周年のアニバーサリーイヤーを迎えましたTUBE。
その記念すべき32枚目のオリジナル・アルバム“Surprise!
店主、内心期待してました。なぜならメンバーが『TUBE Q250』で新作を「90年代前半のTUBE風」と形容してましたから。ベスト盤でいうと“TUBEstII”、この頃が個人的にはTUBE黄金時代でした。“湘南”“浪漫の夏”“終わらない夏に”という押しも押されぬ名盤を続出し、シングルのみならずアルバム収録曲も数多くタイアップを続出していた、名実ともにある種の絶頂期でしたから。
ですが・・・聴いてみて90年代TUBEファンにはあまり90年代テイストが感じられなかったような。むしろ曲的にはそれ以前の懐かしさがあったような。それは前作“Blue Sprash”もそうでしたが、あっちが『クラシック』だったらこっちは『ヴィンテージ』というような。
一方、歌詞全体を貫く柱があるとするならば、一本は「もう四半世紀」、もう一本が「まだまだ四半世紀」。前者が『』『Return To The Border Line』『最後のLove Song』の『アニバーサリー3部作』だとしたら、後者は『愛はカーニバル』『魔巣華麗奴』『I'll Be Your Love Shower』の『肉食系男子3部作』かと【笑】
そんな25年のひとまずの集大成、ぜひお聞きくださいませ。

♪ 太陽のサプライズ

まさにTUBEの王道といったポップチューン。
なんですが・・・ファンの受けはいいんですが、個人的にはどうも【苦笑】
あまりにもお馴染みすぎるんですよねぇ。あんな本を読んだからかもしれませんが、TUBE的ボキャブラリーを並べただけというか。
同じような、タイトルチューンでさわやか王道系の『Blue Sprash』と比べても、歌詞にパワーが感じられないんですよねぇ。
おそらく「TUBEはTUBEのままでいてね」というファンにとっては直球どストライクなんでしょうけど、毎年の意外性を楽しみにしている店主にとってはアウトなんでしょうね。少なくとも、この曲が『サプライズ』を名乗る資格はちょっと疑ってかからないといけません。

♪ 灼熱らぶ
そういう点ではこっちの方がよっぽどサプライズだったシングル曲。
タイトルを聞いてまずサプライズ!
実際に聴いてみてまたサプライズ!
どうなることかと思いましたもん、本気で。今年はコミックソングで行ってしまうのかと【泣】 でも聴いてみたら全然カッコよかった。テイスト的には『ウルトラ』シリーズの系譜に連なる兄弟たちですが、ちゃんとマジメにふざけてる、だからカッコいいんです。
そして、ずいぶん前からGS風を謳うJ-popが増えてきてますが、「GSの継承者はオレだ!」と大上段に訴えるサウンド【笑】 そもそも初期TUBEのディレクションを手掛けてたのは元・ヴィレッジシンガーズの小松久氏でしたから。
一度聴いたら耳に残るという点では、納得のシングルカットだったはず。
♪ 愛はカーニバル
ある意味、これもまた「これぞTUBE!」ですよね。ノリノリのラテンテイスト。もちろんラテンと一口に言ってもサンバやサルサと細分化されますが、TUBEの場合はそれすら全部ひっくるめてのTUBEテイストといいますか、さすが日本一の似非ラテンバンド【笑】
聞いてるだけで身体が動いてしまう、早くライヴで聴きたい一曲。
♪ Lady September

第一印象で「80年代ニューミュージック?」(って喩えがまず古いよな;苦笑)と思いました。そんな感じのしっとりとした曲、って判るかなぁ。
こういうしっとりした曲が似合うようになったのも25年という歳月があったからでしょうね。歌詞もTUBEとともに青春を過ごしてきたような同世代の女性へのメッセージでしょうし、サンダルよりもパンプスという年齢の。
ただ、店主的にはなぁ・・・自分にはまだ早すぎるのかもしれませんし。

♪ 波乗り娘に恋しても

これはさらに曲調的にはヴィンテージ度up。ビーチボーイズのノリでしょうか。
TUBE的ボキャブラリーの中では波=恋、なんでしょうけどSurfer Girlにとっては恋より波乗り!いや、波=恋だからこそ波に恋してるのでしょうか?そういう意味では『波のバカヤロー!』(“B☆B☆Q”2006)に近いのかも。
そんな彼女に恋しながら、自分のものにならなくてもいいから誰のものにもならないでと願う「僕」があんまり前田氏的ではないなぁ、これも年齢的な余裕なのか?と思ってたら、春畑氏のセルフ・ライナーノーツでは「わたせせいぞうの世界をイメージした」そうな、納得。余所さまのイマジネーションを使って世界を広げるという手は店主も常習犯ですから【爆】

♪ Shaping Up Your Heart in The Summer Breeze

あからさまに『傷だらけのHero』『You'll Be the Champion』に取って代わるハードロック・ナンバーをという野心がまる見えの一曲。当然野外の後半で大盛り上がり間違いなし。さすがフェンダーが認めた日本を代表するギタリスト、ハルのギターがこれでもかと炸裂していますが、こういうネアカなハードロックっていうのはTUBEならではですよね。
ただ、『Lady September』でも感じたことですが、なんかやたらと同年代に媚びているような歌詞が鼻につくというかどうも気になるというか。確かにライヴの客席は店主より一回り以上のお姉さまがメインですが、ベテランも今の10代も共感できるものが無いと、新規ファンの開拓といってもうまくいかないと思いますよ【泣】

♪ 勇者たちの挽歌

Old Baseball Man』に続くアスリート・アンセム(賛歌)の範疇に入れていいですよね。前田さん自身「引退するかしないかのアスリートが好き」と仰ってますが、今回もまさに彼らに捧げられた曲かと。
ただ、G党のみならず野球ファンにとっては涙なしで聴けないかも【泣】
決して記録には残らなかもしれないけれど、何度も挫折を乗り越えて、人々の記憶に名を残した名ユーティリティプレイヤーが浮かんでは消えませんでした。そして
夜明けの空を渡る 名も知らぬ鳥さえ/己の帰る場所を 心に決めてる

で熱いものが込み上げてしまいました。作詞のタイミング的にはそうではないでしょうけど、「挽歌」というタイトルと相まって、そう誤読してもいいですよね?
熱い漢(おとこ)のバラードです。一度お聴きあれ。

♪ 風の街で

人類のために乾杯!』(“HEAT WAVER”1998)でヴォーカルデビューを果たしたリョージに引き続き、ついにカックンがデビュー!
以前にも『あずけてごらん』(“Say Hello”1993)で1パートを歌い(残り3人の中では一番上手かったと思う)、春ソロでコーラスしてるのを拝聴していたんで、ある意味店主の中では「満を持して」だったかもしれません。
曲的には、聴いてて「フォークっぽいなぁ」と【苦笑】 シンプルなサウンド&歌声的にも。ちょうど親が世代なもので、店主も少なからず聞いて育ちましたから。
たぶんライヴでは、噴水バラードの後だろうなぁ。

♪ 魔巣華麗奴

同じLa La La・・・で終わってLa La La・・・で始まるのに、何この濃度の差【爆】 でもこの差こそTUBEの幅なんでしょうねぇ。
このいかにもDQNなタイトルを先行で見たときはどんな曲になるのかと正直心配でした。が、やはりSurprise!思っていたよりマシというか、むしろそれ以上の曲に仕上がってました。そういう意味でも『灼熱らぶ』の兄弟ですよね。
灼熱らぶ』がGS風といってもワイルドワンズとかそっちの系統だとしたら、こっちは思いっきりムード歌謡【笑】 どっちかといえば『燃える煙るモナムール』に近いかな。でもモナムールがPVのとおり悪ノリであるにもかかわらず、これは当て字以外は大真面目。大仰な歌詞もこの濃ゆいメロディに乗せれば自ずと真っ直ぐ伝わるというもの。
もうとにかくこういうの大好きです♪

♪ I' ll Be Your Love Shower

同じアンチ草食系でもこっちはさわやかというか「80年代シティポップ」【笑】 まぁ、本当はファンクとかそっち系なんでしょうけどね。これでうまく下心が薄まってるというかなんというか。
でもLove Showerという言葉が際どい【苦笑】 辞書には載ってないものの、Love+水モノ=キケンというか。
もひとつ英文的にはYou may know love showerのmayって可能?許可?推測?と突っ込みたくなってしまいますが、むしろこれはタイトル同様、意味より音の(日本語としての)響きですよね。
聴いてるうちに思わずノリノリ、聴き終わっても思わず口ずさんでしまうような、そんな一曲。

♪ 絆

ここからラストまで『25th Anniversery3部作』でたたみかけ。
思えば俺たち 四半世紀 一緒にいるねというこの曲はまさに25年を共に歩んできたメンバーでありファンに対しての愛に溢れるメッセージ。ジャンルでいえばバラードなんでしょうけど、いわゆる大バラード的などどーんというのではなく、ギター片手にほっこりと語りかけてくれるような曲で、おそらくは野外の締めでしょうか。
今まで『Love Song』、『夏よありがとう』、『a song for love』と数々のTUBE Anthemというべき曲を送り出してきましたが、まさに2010年現在のTUBE、ですね。

♪ Return To The Border Line

イントロのサックスからいかにもTUBEらしい、『Horizon』などの王道路線にも通じるポップチューン、なんて言うと『太陽のサプライズ』と変わらないような気がしますが、こっちはばりばり店主のストライクゾーン。どの辺が違うのかというと・・・やっぱり詞なんでしょうか。具体的にどこがどうとは言えませんが、理屈よりフィーリングの問題ということで。
歌詞的には、まさにTUBE世代の、TUBE世代による、TUBE世代のためのラヴソング。若々しいんだけど、若さだけでは歌えない歌ですよね。
でも、そんな変わらぬ愛を「変わらぬTUBE愛」と読み替えてもいいですよね?店主にとってもTUBEに出逢えたことはこの地球(ほし)の奇跡なんですから。

♪ 最後のLove Song

スカイツリーがどんどん高くなって、東京の景色も日に日に変わっていってますが、同じようなことは東京のみならず日本のあちこちでも起こっているはず。25年のスパンがあればなおさら。でも特に最近、そんな変化を痛切に感じたりします。
でも、それでも変わらずに愛する人が隣にいる。いいですよね・・・店主にとってはちょっと羨ましいくらいですが【涙】
今までのLove Songは届きそうで届かないものに焦がれてなんとか手に入れたいと願う、いわば「恋の歌」でしたが、これはすでに手の中にあるものを今も変わらずに愛しみ慈しみ続ける、まさに「愛の歌」。そういう意味でもこれは「最後の」であり、また「究極の」なのかもしれません。
こればっかは好きだ欲しい愛してるとケツをおっかけてるだけの若造には歌えないでしょう【苦笑】いわば25年の集大成。
もちろん、その一方でそういうスケベ心も忘れずにいてもらいたいものですが【笑】

そして、恒例の☆付けは・・・

★★★☆ 3.5

25th Anniverseryにもかかわらず申し訳ないんですが、昨年の“Blue Sprash”が良すぎた!すいません、店主の中で前作越えてません【泣】
単品ではグッと来るものはあっても、それほどでもないものもあったり
かといってサウンドなり歌詞の世界観なり「全体で勝負!」というアルバムでもないような気がしますし・・・
でも、これはあくまで店主の主観なので、試しに聞いてみてください【苦笑】 あなただけのヒットが見つかるかもしれませんから。


Coming out!