伊達男、見参!

―店主が『独眼竜政宗』を好きな理由―

今までTUBE、野球、パトレイバーと出会い、これから先

人生を変えるような出会いはもうないだろうなぁと思っていた店主でしたが、出会ってしまいました。

2004年新春、NHK大河ドラマ『独眼竜政宗』再放送。

2日間にわたる放送で、すっかりその魅力に取り付かれてしまいました。

実は『独眼竜政宗』、大河ドラマの最大平均視聴率を叩き出したというKing of大河ドラマ。大河が輝いていた時代の重厚感と息吹が活き活きと伝わってくる大作でございます。

 

 

そもそも店主は、主演の渡辺謙サマのファンというか

以前から「彼はいい役者だよぉ」と思っていました。

その発端は、BSの朝ドラ再放送の『はね駒』。

(ちょうど『独眼竜』の前年くらいですね)

これが云わばブレイク作でしたが

それで主人公の相手役として好演していた若き日の謙サマを見て

「渡辺謙ってこんなにいい俳優だったんだ」と、

まぁ言ってみりゃホレてしまいました。

そしてそれと並行して『北条時宗』の威厳ある父親役で

もうノックアウトをくらってしまいました。

 

謙サマの魅力といえば、もちろんあの眼光。

それが隻眼の英雄を演じていたというんだから

これが見ずにはいられようか!という期待に見事応えてくれてました。片目を眼帯で隠したお姿は

その眼光が半減するどころか倍増して余りあるというほど。

まさに適役!

もちろんそれだけではなく、野心ギラギラの青年期から

壮年期、そして老境に至るまでを見事に違和感なく演じきっていました。そして、政宗の一生と役者・渡辺謙の成長を

そこに重ね合わせてもいいんじゃないでしょうか。

 

しかし、大河ドラマ『独眼竜政宗』の成功は

ただ単に主演の渡辺謙だけによるものではないでしょう。

彼を支える(大河名物)豪華脇役陣なくして

歴代大河最高平均視聴率は叩き出せません。

息子の名声の陰に隠れながらも、その影響力は決して小さくはなかった父・輝宗役の北大路欣也、

『奥羽の鬼姫』と呼ばれ、実の息子を殺そうとしながらも

その心の奥では常に家を案じていた母・お東の方を演じた

岩下志麻などなど。

秀吉役に至っては今は亡き天下の勝新ですからねぇ。

もちろん、今から見れば豪華キャストであって

当時はまだブレイク前って人も多々いますが、

それでも後々の活躍を見越したキャスティングは見事なもの。

その爪の垢を、今の人気偏重キャスティングに煎じて飲ませたいもの(泣)

とりわけ、その中でも印象が強いのは

 

片倉小十郎景綱(西郷輝彦)

  伊達家の参謀、政宗の右腕

  というか『右目』といっても過言ではないかと。

  神官の家に生まれながら小姓として仕え、

  その才能を認められ登用された叩き上げ。

  常に冷静沈着、忠実無比ながら

  幼い政宗の失明した右目を抉り取ったという

  豪胆な一面も。

     &

伊達藤五郎成実(三浦友和)

  小十郎が『智将』なら彼は『勇将』、

  同じく政宗の片腕である重臣。

  政宗とは従兄弟同士という生粋の伊達一族。

  戦場においては決して後ろに引かず

  勇猛果敢であったが、

  後に政宗の生涯の記録を残すという

  知的な一面も。

という出自も性格も対照的な二人に、殿(政宗公)を加えた

『二枚目トリオ』(笑)

『智将』と『勇将』という組み合わせも魅力的です。

以来、どの小説を読んでも

彼らはこのキャスティングで固定されてます。

 

そして、個人的には地理的なものも大きいかと。

というのも店主は東北ハーフ、

母が福島県中通り出身なもんで

聞いたことがある地名がバンバン出てくるというのも

嬉しいものでした。

正室・愛姫(めごひめ)の出身地である三春町は

母の実家のすぐ近くですし、

撫で斬り(つまり皆殺し)のあった小手森城の本条のある小浜には親戚がいるんですけど、その地名は

町名ではなくその下の字の名前。

たぶん地元以外は知らない地名でしょう。

それが出てきたってのはすごくワクワクしました。

 

 

キャスティングもさることながら

ストーリー、つまり政宗公の生涯もまた充分魅力的なもの。

梵天(幣束)を賜るという瑞夢とともに生まれて

梵天丸と名づけられながらも、

幼時に右目を失明、それ以後は実の母にも疎んじられる日々。

しかし成長とともにその実力を徐々に発揮、

ついには若干24歳で南奥州の覇者となる。

しかしその間、父を苦渋の決断で死に追いやり

弟を自ら手討ちにし母を追放するなど

プライベートにはひたすら恵まれませんでした。

そして南奥州を統一したときには

天下はすでに秀吉のものに固まりかけていた。

もし政宗があと20年生まれていたら・・・

と思う歴史・戦国ファンも多々いるはず。

まさに『遅れてきた戦国大名』それが伊達政宗だったのです。

その後、秀吉に臣従の挨拶にしにいくんですが

そのときの格好が死を覚悟の白装束。

その出で立ちに感心して秀吉は彼の遅参を許すんですが

以後も秀吉や噂好きな今日の人々の度肝を抜くようなことを

しばしばやってのけた、まさに『伊達男』。

その一方で、秀吉、後に家康に臣従しますが

裏ではこそこそと、少しでも領土を増やそうと

かなりあくどい悪あがきもしています。

世の政宗ファンにしてみれば臣従以降の殿は

狡いことばっかりしてる、あまり好きじゃないという意見もありますが、店主としてはこの頃の殿も結構好きです。

体制内の反体制派ってのに惹かれるんでしょうか。

(某ロボットアニメのG隊長のように・・・)

それゆえ要注意人物で通ってたらしいですが

当の殿なら「武士たるもの恐れられてナンボ」と

笑い飛ばしてそうで、そんなとこが好きです。

 

とはいえ、この『遅れてきた戦国大名』に

大きな期待も寄せているファンも多いようで

いわゆるif戦記というジャンルでは結構取り上げてもらってます。

中には政宗が天下をとる、なんていう大風呂敷もありますが

店主からすれば、天下とまではいかなくても

奥州を統一して、独立するのは可能だったんじゃないかなぁと思ってます。そのためにはちと、南に目が行き過ぎましたね、殿。

東国独立国は平将門以来、戊辰戦争に至るまで

何度か唱えられてはいずれも実現しなかったプランです。

しかし、もしそれがどこかで実現していたら

今までの『日本』という枠組み以外にも

同じ言葉が(辛うじて)通じる国があるということが

この国の国際感覚にいかなる影響を及ぼしたでしょうか?

そう思うと殿にはやっぱりもうちょっと頑張ってほしかったような気がします。こすっからいことも程々に・・・。

 

 

とまぁ、今まで殿への募る想いをこうしてつれづれと綴ってきましたが、じゃあお前は大河ファンなのか、政宗ファンなのか、

それとも渡辺謙ファンなのかと問われたら、答に詰まってしまいます。とりあえず店主は『独眼竜政宗』ファンであり

その中にはもちろん大河全体であり、伊達政宗という人物であり、

渡辺謙という役者が含まれている、ということにしておきましょう。

 

 

Coming out!

 

 

参考サイト

『天下の独眼竜 伊達政宗』

類似サイトは多々あれど

家臣紹介、エピソード等

情報は詳細かつ豊富。

ライブラリーはより詳しく知りたい人にとって重宝すること間違いなし。

『北天』

殿及び伊達家臣団の

美麗絵の見られる

歴史ファンアート・サイト。

管理人様曰く

「妄想100パーセンツ」

の人物紹介も

結構的を射てます。