突撃!ライヴレポ

―TUBE Live Around 2007
冬でごめんね winter letter
@横浜アリーナ―

19年ぶりとなる冬のアルバム“winter letter”を受けて始まった3年ぶりの冬ツアー『冬でごめんね winter letter』。前回はカバー曲中心のライヴハウスツアー、いわゆる『冬ごめ』名義だと2003年以来のツアーになります。(『Your Hometown』後半はあくまで秋だし、『冬ごめ』と銘打ってないので置いといて)
最近では数年に一回ぐらいのペースで冬ツアーを行っている夏バンドTUBEですが、残念なことに今までは論文やら試験やらと重なってしまったり、会場のアクセスが悪くて泣く泣く断念を続けてきました。が、しかし今回の関東・横浜アリーナは土曜開催で開演も他会場より1時間早いということもあり、冬ごめ、そしてアリーナ初参戦です。今まではホームの宇都宮などホールサイズの会場と横スタしか知らない店主。果たしてそのどちらとも違う雰囲気を味わえたのでしょうか・・・。

座席はアリーナ席Dブロックの10列49番。事前に調べて来なかった店主がバカなんですが、横浜アリーナって「アリーナ席」が2階なんですね【苦笑】なのでちょうどステージの下手斜め上のあたり。1階のセンター席よりはステージ全体が見える方ですが、機材に隠れてパーカッションやカツオの姿が見えませんでした【爆】
そのステージは、客席に向かってV字に出っ張ったような形になっていてそのラインに合わせて白いカーテンが引かれてる。そこに浮かび上がる一組の男女の人影。会場に流れる『遠い日の君の姿』のオルゴール、そして「夏を愛する人と、冬を愛する人が出会った」というナレーション。声ヲタ店主じゃなくても判ります、このあったかい声は・・・森本レオ氏【笑】
オルゴールの音色に合わせて踊る男女の影。この男性の方はもしかしたら前田さんじゃないか?という声も会場からちらほら。華麗なステップを踏んだり女性をリフトしたりしてますが、今年の野外でバンジージャンプに挑戦した前田氏のこと、その気になればダンスくらいできるんじゃないか?とさえ思いましたが、オルゴールが止むと同時に後ろへと消えていく影。そして幕が開き、『ナデシコ』で前田氏はじめメンバー登場。なんだ、前田さんじゃなかったみたい【爆】
今回はアルバム“winter letter”を引っ提げてのツアーですが、そのニューアルバム、冬にぴったりのしっとりとした曲が中心ということもあって、ライヴも「聴かせる」という感じのもの。なので曲が始まっても店主をはじめほとんどの人が座ったまま聴いているという今までにない幕開けでした。
しかし3曲目の『Surfin' in the snow』のイントロが流れた瞬間みんなぞろぞろと立ち上がる。そういえばこの曲は“winter letter”が出る前までは最後のTUBEの冬の歌でしたね(以後冬のリリースはあるが冬の季語は登場せず)そういう意味では今回のツアーにふさわしい曲だったはず。

とはいえ「聴かせる」ライヴといっても『Your Hometown』のようにシンプルな構成でただ音だけをじっくり聴かせるという構成ではなく、曲の世界をより感じるために、アリーナならではの様々な演出が凝らされてました。なにせアルバムのテーマが『手紙』、つまり伝えたいこと。その中身を伝えるためには当然こだわってます。
その一つが照明。今回は普通のホールツアーに比べても色や照らし方などいろいろ工夫があったんじゃないでしょうか。といっても『愛のセオリー』にピンク色の照明というのはあまりにベタで失笑ものだったのですが。この曲、ひそかに店主は「ムード歌謡」と呼んでましたがこの妖しげなライティングと相まってアダルトな雰囲気全開【笑】同じく「ムード歌謡」な『テ・ガ・ミ』もピンク色だったし・・・。
そしてもう一つの演出がラヴソングを盛り上げるダンサー、オープニングに出てきた二人です。でも店主にはその意図がいまいちよく伝わらなかったような・・・だって、センター席からならともかく、店主の席からは舞台の後ろの方がほとんど見えなかったので二人のダンスもちらちらとしか見えませんでしたから【涙】

「今回のアルバムのために曲を20曲、30曲作っているうちに自分たちも驚くほどほどすごくいい曲が出来た」と、もはや聞き覚えのあるあの前奏が。これで3度目の『ホタル』です。といっても総てライヴでしか聴いたことのないという珍しい曲。ですが作った本人たちがびっくりするくらいなのだから、店主が初めて横スタで聴いたときに感動したのも当然。「来年の春には出る」そうなのでシングルカットが楽しみです。いいタイアップがついて皆さんの耳に触れる機会がたくさんありますように。
また、MCで今回のアルバムでは前田さんだけでなく角野、松本両名も作詞で参加したことが触れられてましたが、書いた歌詞で性格が判るとのこと。『クリスマスローズ』を書いた角野さんは「吐き気がするほどロマンチスト」。確かにいくら曲のスケールが大きいとはいえ、あんな気恥ずかしくなるような歌詞は相当のロマンチストでない限り書けないでしょう、「僕だけのマリア」なんて。一方の松本さんは「純愛モジモジ」君だそうで、詞を書かないハルは「野獣」だとか。いきなり襲ってしまうのだから【笑】ということで「純愛モジモジワールド、味わってください」とリョージ作詞の『君に届いたら・・・』。
続く『追伸』ではアコースティック・セッション風に、『償い』はさらに春畑さんのピアノだけで。店主、実は最初から前田さんの声のことをちょっと心配してました。夏の野外でもいまいち声が出ていなかったところがあったし、そのことをDVDを通して指摘する人も多かったので今回のライヴも気がかりでした。痩せても声が出ないくらいなら、たとえパヴァロッティ体形でもあの周囲を圧倒するような声量でぶっ飛ばしてほしいと。実際、今回も出だしはところどころ楽器の音に負けてるようなところもありましたが、この辺に来るともうすっかり本領発揮。むしろ前田さんの声の質・量はこうやって伴奏ピアノだけ、などというシンプルな曲でこそ発揮されるんじゃないでしょうか。声だけで勝負できるヴォーカリストなんてそうそういませんよ。
暗転、しかし会場にはうねるような低い音が流れる。この音は・・・ベース?するとステージ上の角野さんにピンスポがが当てられる。よく野外では水バラ後の前田さんの着替えタイムに春ソロの演奏がありますが、角野さんのベースソロというのは珍しいかも。そしてリョージのドラムの体全体に響くような重低音。いつもは裏からTUBEの軽快なリズムを支える“職人”二人がこの瞬間だけはスポットライトを大いに浴びてました。

『冬でごめんね winter letter』のもう一つの特色といえるのがMC。曲作りのときに思ったこと考えたこと、この曲を通じて何を伝えたいのかをじっくりと客席に向かって語りかけてくれました。ときにはその長さにスタッフから「MC止めろ」のサインが出るほど【笑】いわば『説教ライヴ』と言ってもいいような趣きでした。
後半ともなると今回のしっとり目のライヴでもアップテンポの連続になりますが、それでも『誰のせいでもない』『いつかの僕よ』そして『この胸のRainbow』とメッセージ性の高い曲ばかり。この辺にも『説教ライヴ』が現れてるかも。その曲のいずれも店主の好きな、思い入れのあるもの。特に『誰のせいでもない』は4年前の野外ではやってくれなかったので、店主がライヴで聴くのは初めてだったんじゃないでしょうか。
そういや『この胸のRainbow』では客席に七色の光が当てられてました。
そして本編の締めは『僕たちはどこへ』ステージ後方には大きなミラーボールが出現、その光が会場に向かって投げかけられる――後半もただアップテンポでノリノリというのではなく、拳を振り上げながらもその歌詞の伝えたい言葉にじっと耳を傾ける、そんなライヴでした。

メンバーが去ってしまったステージに投げかけられるTUBEコール。
その声に応えるようにサポメンを引き連れて4人が再び登場。彼らを(パーカッションは今回初参加だったそうです)、そしてダンサーの二人を紹介。
アンコールは再びラヴソング、『冬のプレゼント』と『クリスマスローズ』で気になっていた二人の恋もようやくハッピーエンドを迎えたよう。そしてまた森本レオさんのナレーションで恋物語は締めくくられたのでした、めでたしめでたし。
クリスマスローズ』では歌詞のように、雪のイヴではないけど「奇跡」が!天井から降り積もる雪、雪、雪。CDで聴いた時から噴水が似合いそうな曲だとは思っていました、まず夏の野外で演奏されることはないでしょうけど。でも水の代わりに雪ですか!前田さん曰く「吐き気がするほど」ロマンチックな世界にドラマチックな演出も相まって、すっかりうっとりしながら熱唱する前田さんを眺めていました。
ライヴ全体のラストを飾るのは残っていた最後の一曲、『遠い日の君の姿』もちろん切ない歌詞にも胸を打たれましたが、それ以上に印象に残ったのはやはり前田さんののびやかな声。もうそのころには当初抱いていた不安なんかすっかり吹き飛んでしまってました。何よりこの声に惚れてTUBEファン、前田亘輝ファンを続けてるんですから。

ということで今回はしっとりと“winter letter”の世界を、そして前田さんの歌声をじっくりと味わう、大人のライヴでした。たぶん昔の自分だったら歌って踊って弾けられない、今回のようなライヴには消化不良を起こしていたでしょうけど、しかし終わった瞬間、しっとりとライヴの余韻に浸ってる店主がいました。それだけ店主も大人になったんでしょうねぇ、結局知らない歌もありませんでしたし。
ですが、やっぱり夏は歌って踊って弾けたい!これから春にかけてハードスケジュールになってしまうかもしれませんが、来年の夏もよろしくお願いしますよ!『ホタル』も予告してしまいましたし♪


TUBE Live Around 2007 
冬でごめんね winter letter
@横浜スタジアム セットリスト

1.ナデシコ
2.哀愁ドライブ
3.Surfin' in the snow

4.愛のセオリー
5.星空のラヴレター
6.テ・ガ・ミ

7.ホタル
8.茅ヶ崎パイプライン
9.シャララ

10.君に届いたら・・・
11.追伸
12.償い

(ベースソロ)
13.方舟
14.誰のせいでもない
15.いつかの僕よ
16.この胸のRainbow

17.僕たちはどこへ

 アンコール
18.冬のプレゼント
19.クリスマスローズ

20.遠い日の君の姿

Thanks to TOMOさま
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