勝手にLiner-Notes
ー『TUBE』−

1985年6月1日、『ベストセラー・サマー』で衝撃のデビューを果たしたTUBEも、今年でデビュー20周年。
そのAnniversary Yearを飾るのが27枚目のオリジナルアルバム、
タイトルもずばり『TUBE』。
ジャケットからしてデビューアルバム『
Heart of Summer』を踏襲するこの一枚はまさにTUBE20年間の集大成といえよう。

全体を貫くイメージは「さわやか」。
これぞTUBEの王道、と13曲通じていっているようなもの。
たしかに新味は少ないかもしれないが、それはむしろ確信犯だと店主は捉えたい。このアルバムは新たなTUBEを開拓するよりも、むしろ20年間彼らが練り上げてきたTUBEサウンドの成果を示すものだから。
もちろんまだまだ中間発表、ですが。

♪ジラされて熱帯♪

と言いつつノッケから暑苦しいほどのベタラテン。
しかもエロいし。
泳ぎたい君と シルクの海なんて裏行き決定【爆】
初めて聞いたとき、なぜか『
ノッテけ‘92』を思い浮かべてしまった。こっちはラテンであっちはテケテケ系なのに・・・
ちなみ振り付きらしい。DVDシングル発売が楽しみ♪

♪CANAL WAYS♪

一転、王道さわやかメロディ。
タイトルの
Canal(=運河)」や「夢のセイルと、
歌詞のボキャブラリーが他の曲と少し違うような気がする。
TUBEの海のイメージはoff shore(海の上)よりむしろon shore(陸上)から見たもの、という感じだったが、この曲はoff shoreなイメージ。

♪SKY HIGH♪

JIGSAWではありません【笑】CMでもおなじみの先行シングル。
さわやかはさわやかでも、この曲は『熱さわやか』
今までのTUBEロックは熱さ全開!ってとこがあったが、これはそういったとこは抑えめ。
「温度高め、湿度低めのさわやかさ」ってなところだろうか。
この手の路線は昨年のアルバムから見られたけど、今年は見事シングルに結実している。

♪Summer walker♪

前田ヴォイスの円熟味を感じたければこの曲。
最近ファンの間でも前田さんの喉の心配が絶えないが、やっぱり昔みたいな突き抜けるハイトーン・ヴォイスは出づらくなったみたい。
それはそれで仕方ない。だって人間の声という楽器は生モノだから、変化してって当たり前。むしろその変化を前向きに受け止めなくちゃ。
最近のアルバムではむしろ、包み込むようなまろやかな声の歌が増えているような気がする。これもその一つ。
それもそれで店主は好きだ。「包容力のあるオトナ」って感じで。
昔の突き抜ける高音が聴きたきゃ昔のアルバムを聴けばいい。
ライヴでは今ならではの声を楽しもう。
それも20年という歳月が為せること。

♪Surfin'ロックンロール♪

タイトルどおりギンギンのロックンロール。デビュー当時を思わせるって、当時店主はまだまだガキんちょでしたが【笑】
ライヴでの変則ハンドクラップ(拍手)が楽しみ。
We Are Freeをナマで聴けなかった店主。せっかく練習したのに・・・
歌詞の「波」を「歌」と読みかえればまさにTUBE自身を歌っている曲になる。確かにハワイにメキシコにブラジルと
“歌”を求めて 夏を探して/世界中を旅してきましたから。
それゆえ
アチらコチら ミシミシと 悲鳴を上げるBodyという詞がなんとも痛々しい【合掌】

♪ロケットハナビ♪

今年イチオシの一曲!理屈ぬきで、出だしを聴いただけで一発で惚れました。ちなみに母もこれを気に入ったらしい。さすが親子・・・。
今回、例外的の熱い曲。
しかし、『
あー夏休み』から始まるTUBEラテンの中で、ここまで純情な歌詞があっただろうか?
今までのラテンといえば『
ジラされて熱帯』のような、まさに「火遊び」で「ノリ」な感じが多かった。
恋のマグマ』は結構純情だったけど・・・マグマンだもんなぁ【爆】
でもこの詞は一途!健気!それが王道ラテンと相まって
ウブな情熱を感じさせてるところがニクい。
ライヴではきっと花火が飛ぶんだろうなぁ。

♪ともだち♪

胸震えるバラード、今年の噴水候補?
この手の「片想い三角関係」な曲はいくつかあるけど
ストーリー性の高い歌詞、そして海辺という舞台設定で思い出したのが
2ndシングル『
センチメンタルに首ったけ』。
あのころのヤケっぱち交じりの若さが
傷つく方が/美しく光る愛もあると言えるまでに成長したというのは、やっぱり20年の歳月を感じる。
こうやって昔の名曲をリファレンス(参照)しながら聴くっていうのが
このアルバムの正しい鑑賞法なんじゃないでしょうか。

♪破れたBlue Jeans♪

今年で4作目になる角野氏作詞の一曲。
夕焼けの前に・・・』もそうだったけど、角野さんのメッセージ系の歌詞って前田詞に負けず劣らず良い。観察眼が細やかというか。
曲としては、吹き抜ける突風のような「疾走感のあるさわやかさ」。
でも、こういう最近流行りのギンギンのギターサウンドってTUBEではあまりやらないはずだけど、それでも王道路線に聞こえてしまうのは
20年のキャリアの為せるわざか?

♪夏のseaside road♪

ブルージーな曲が松本詞らしい。(でもこれってレゲエ?もしかしてヒップホップ?)
やっぱりこういう武骨なメロディが、飾り気のない歌詞によく似合う。
歌詞的には、昔を振り返りつつも決して追い求めないというスタンスが好きだ。
昔を振り返る曲は、『
Summer walker』もそうだが「あの夏に帰ろう」という感じになりがちだ。でも、帰ろうとしたって帰れないときだってある。いや、そっちのほうが多いかもしれない。
だからこそ
「新しい出会いを 探しに行こう/思い出を捨てて 旅に出よう」
という歌詞に店主としては思いっきり共感できる。

♪あなたはあなたのままでいてね♪

店主の行きつけのTUBEファンサイトBBSで評価の高かった曲。
Horizon』、『誰のせいでもない』の流れを汲む王道ど真ん中なメロディ、定番の「頑張れ」ソング。
でも、この手のメロディはむしろ『
Horizon』や『めぐりくるSeason』のような切な系の歌詞の方がより印象的に聞こえると店主は思うのだが。ミスマッチがケナゲ感をあおるというか。
似たテイストの曲と詞で平板になってしまったかもしれない。

♪Miracle Game♪

店主の栄養剤ともいえるアドレナリン・ソング。
軽快なリズムに乗って「頑張れ、負けるな」ボキャブラリーが怒涛のように畳み掛ければあなたもわたしもハイテンション!
(って店主だけ?)
ロックテイストのはずなんだけど、どこかラテンな雰囲気を感じるのは店主だけでしょうか?そこはかとなく聞こえるパーカッションのせいでしょうか。

♪Seaside Vibration 〜世界をつなげる扉Ver.〜♪

ずいぶんがらっと変えちゃいましたね【冷汗】
オリジナルの『アコースティック×ヒップホップ』というのが完全にヒップホップに。ところでラップはなんと言っているんでしょうか?
店主は『
日本全国海めぐりVer.』が好きです。

そして湧き上がるTUBEコール。ライヴの興奮がよみがえり、思わず鳥肌が立ってしまいました。
これっていつ、どこで録ったものなのでしょうか?ここ数年の横浜スタジアムのなら、この中に店主の声も混じっているはず【笑】
きっとライヴでも、次の曲はTUBEコールの中から始まるんでしょうね・・・。

♪a song for love♪

LOVE SONG』『夏よありがとう』と並ぶTUBE Anthemといえるバラード。
そしてまさにファンのために歌われた曲。
いつだってTUBEはファンと二人三脚でやってきた。15周年のハワイライヴも、今年の海岸ライヴもファンの夢があったからこそできたのだと思う。じゃなきゃ「無理」の二文字で終わってしまったはず。
だからこそTUBEは常にファンの声に真摯に耳を傾けている。
もしかしたら日本一ファン想いのバンドかもしれない。
だからこそ、私たちは彼らを支えていかなきゃならないんだ、たとえ逆境のときも、ときには愛のムチを振るいつつ。
叶わぬ夢も あったけれど
という歌詞はあまりにもタイムリーすぎて言葉に詰まった。でも
もう何一つ失う物はないのだ。と開き直る【笑】
TUBEへの愛が挫けそうなときに、この歌を歌ってくれてありがとう。
この一曲だけでこのアルバムは価値がある。

そして総合評価はというと ★★★ 星三つ、意外と低評価。
良くも悪くも定番、王道路線。王道の曲に王道の歌詞という取り合わせが多かった。これじゃちょっとありきたり過ぎる。
まったく新しいものでなくても、
定番の曲に新味のある歌詞(『
ロケットハナビ』)、
新鮮な曲に定番の詞(『
Miracle Game』)という取り合わせでも充分新しさは感じられるはず。
といってももう12年も聴いてると新鮮味は薄れてしまうのか?
好きなアルバムが『
Soul Surfin' Crew』『OASIS』な時点で相容れないのかも。
しかし来年、21年の再出発ではきっと新たなTUBEを聴かせてくれるはず、との期待を込めて。

Coming out!