突撃! ライヴレポ

〜TUBE Live Around 2017
迷所求跡 My Home Town@仙台〜


ファンと一緒に今まで行ったことのないところに行ってみようという今年のTUBEのホールツアー。
というわけで1986年以来の名寄や、当然ながら初めてとなる壱岐など
例年以上にバラエティ豊かな日程に店主……「行けるわけないじゃん【泣】」
遠ければ遠いだけ交通費、宿代いろいろかかる(それが招致サイドの思惑なんですが)
頼みの綱の休刊日は移動日だったり遠隔地、一方の店主は慢性的な資金不足
近場ですらそう都合よく休みやチケットが取れるわけでなく……
で、結局“思惑”に乗せられてしまいました【苦笑】
幸運にもぽっかりと空いた休みと空席、それに縋るようにわざわざ新幹線と宿(カプセルホテル)を取って
はるばる来たぜ東京エレクトロンホール宮城!! という、今回のツアーコンセプトに適った参戦地に【苦笑】
とは言いつつ、市内観光もそっちのけの月曜、もとい翌日の日曜午後から出勤【爆】という、現地に極力お金を落っことさない貧乏弾丸ツアーとはなりましたがw

そんなわけで席は初の立見席(じゃなきゃあのタイミングで空きは出ないって)
場所としては1階座席のさらに後ろ、出入り口との間の通路部分。まぁどうせ毎回、座席は荷物置き場でバラードのときも腰を下ろせない【苦笑】店主なので、むしろ不都合無し。ただ定位置無しの早い者勝ち仁義なきバトルロイヤルシートではありますが、店主、お手洗い等で結局入ったのが一番最後……なのが良かったw 
最後列ながら、センタードアの真ん前。延長線上には前田さん【笑】
最近は春畑さんか角野さん側に極端に割り振られることが多かったので、ここまで真ん真中なのは久しぶり。
しかも、2,3階席に比べればこっちの方がかえってステージと近いような。
それに、目の前が音響・照明の操作卓。ステージをちゃんと見て、音をちゃんと聴くのが仕事な人たちなので、実はそういうところが絶好のポジションだったりするのですよ。
今までハマスタスタンド最後列【泣笑】など迷席珍席ひととおり経験してきましたが、その中では案外悪くない部類の席でした。

客席入りは開演時間ぎりぎりだったので、すでにTUBEコールも。そんな中、ステージ後方がまるで朝日が昇るかのように明るくなり、その逆光の中をメンバーが登場(前田さんだけはセンターから出てきてもよかったのにw)
今回はサポートミュージシャンはキーボードだけというおそらく最もシンプルな編成、というのもありステージセッティングも、おそらくは日程の中には客席1000人未満の小規模ホールもあることからかと思いますが、ホリゾント(舞台後方の幕)の照明中心というシンプルなものでした。
でもその分、小細工なしで歌と演奏だけでも勝負できるのが我らがTUBE。
ライヴは99年のシングル『ひまわり』からスタート。って何からでもいんですよ、メンバーと同じ空間にいられて前田さんの歌声を聴ければ【笑】 でも2番の歌詞

枯れてしまった愛 涙でまいた種
時間をかけて 実るものが
本当の幸せ

に、そのとき重なったのは今の東北の姿。この日はちょうどTBS系『音楽の日』でTUBEは宮城県名取市の閖上から生中継で歌ってきたばかり。そこは震災の津波で大きな被害のあったところ、そしてTUBEが岩手・宮城の被災地をずっとサポートしてきたのはファンなら知っていること。それを意図しての選曲かどうかは判りませんが、少なくともこの曲をここ仙台で聴けたのは、わざわざここに来るだけの意味があったと心から思いました。
と言いつつ、続く『夏だね』『Beach Time』のPPPHには思いっきりはっちゃけてしまいましたが【笑】
だって、そうやって盛り上がれるのもライヴでしかできないことなんですから。これらの曲を電車の中で聴きながら、何度思いきり「ぱんっぱぱん、ふーっ!」とやりたいと思ったことかw
そして『ガラスのメモリーズ』、あーたまらんっ。

続いてはミニアルバムの方から『』。MCで取り上げられたのはあのミニアルバムのジャケットの話題。メンバーそれぞれの小学2,3年の頃の写真をコラージュしたものなのですが(詳しくは現物をw Amazonのページからでもジャケ写は見られますから)まーその頃のことは本人たちもほとんど覚えていないとのこと。
でもその写真のときのエピソードを親たちから聞いているうちに「心の蓋が開いてきた」そうな。
なので、この曲を聴きながら一緒に、心の蓋をそっと開けてみてください、とのことでしたが――覚えてないも何も、はっきりと覚えていますけどね、店主、その当時のこと。嫌な想い出だけですが、人生最初のどん底期【泣】 まだその当時、TUBEには出逢っていませんでしたが……。

その『心の蓋』が、全開になってしまったのは同じく新曲の『スタートライン』。これは春畑さんが、高校までずっと野球を続けてきた息子さんに当てて詞を書いた曲。折しも当地宮城でも甲子園に向けた県大会が始まっていましたが、聴きながら店主が思い浮かべたのは自分の高校時代のこと。
演劇部ではありましたがやはり「目指せ県大会、そして関東、全国!」とがむしゃらに無謀な真夏の夢を追いかけていたあの頃。当然ながらやはり「手にすることはできなかった」んですが、そんな店主をハルさんのように見つめ続けてくれていたのは母でした。他のどの運動部よりも、大会前になると帰りが遅くなるのも文句ひとつ言わず。それなのにその母が入院、手術というときも娘の店主は家のことを放ったらかしで直前に迫った公演のことばかり……そんな親不孝な娘にいったい何を思っていたんだろうと。そしてお前の涙もう拭えないけれど/忘れないで 君は一人じゃないの歌詞に、ぐっと込み上げてきたものが――その言葉が、今の母の言葉のように思えて……しかも、ここ東北(といっても福島だけど)は、店主の生まれた場所でもあるんだよなぁ。だからこそ、あの出だしのキミが生まれた 眩しい朝にという言葉がリンクしてしまい、もうボロボロでした(ToT)
普段の店主にとってTUBEの歌詞は、想像の世界の入り口というか、店主の身近な現実とは別の世界を思い描かせてくれるものなのですが(じゃなければラヴソングなんて素直に聞けたものじゃない;泣)ことライヴでは曲と自分の今までのことが直結してしまうんですよね、当然ながら浮いた話の一つもない人生ですが、今回はそのツボがここで来てしまいました。

さて、話は前後しますがMCでさらりと触れられた『湘南My Love』誕生秘話。仕事が忙しくなって地元の友人とも会えなくなった頃(1991年だから25,26歳頃ですね)だからこそ「地元に恩返しのつもりで」書いたのがあの曲だったそうですが、じゃあ「自分たちが“ここ”の出身だったらどんな曲を書いただろうか」ということでの“ご当地My Love”のコーナー。平たく言ってしまえば現地ならではのものを折り込んだ替え歌なのですが、いきなり広瀬川 流れる岸辺に客席失笑。さすがご当地、店主も一応教養として知ってはいましたがね、でもそれがきれいにメロディーに乗っちゃうんだわw そして2番「コボスタで夏が笑えばに始まり優勝したときは死んでもいいとさえ思えた夜は嘘じゃないって……違う意味で死にそうでしたけどね、店主【泣】 日本シリーズでは心はレフトスタンドだったもので。けど石巻」「塩釜」「気仙沼と「湘南」の代わりに折り込まれた地名は、2011年に新聞紙面で何度も見かけたもの……それでもみんな、そこに今も住む人はその地を、そこの海を愛し続けているんだろうな……
それにしても、聴きながら思ったのは「三郷に行けばよかった」そして「なんで宇都宮来なかったんだ【涙】」 『栃木My Love』は、自分で書きますかw

今回のツアーは全国津々浦々、かなり細かいところまで回るところから、初めてTUBEのライヴに来た人でも楽しめるという、云わば“出張TUBEst”的なセットリスト。なので新作のミニアルバムを除けばほっとんどがシングル曲という、マニアにとっては少々物足りないかもしれないけれど、という選曲。どれほどメジャー曲ばかりかというと、“TUBEst”“TUBEstII”“TUBEstIII”を聴いていけばほぼほぼ予習ができてしまうほどw(それもそれでマニアックな店主も充分楽しめましたけどね)
でもTUBEはそればかりじゃない、ファンにはお馴染みながらそれ以外はまだまだ知らないTUBEの名バラード、略して“TUバラ”の世界をお届けするショーケース的バラード3連発。そうなると立ち見以外のお客さんはみんな座っちゃうし、手拍子も無い。となればじっくり曲に耳を傾けられるわけで――
ニューアルバム“sunny day”を聴くたびに思うのは「前田さんの声、良くなったなぁ」。喉の手術前の曲と聴き比べると、明らかにガサガサ感が無くなってる。時期によっては痛々しいほど無理やり、裏技的に、または力技で声を絞り出していることも無きにしも非ず。それが無くなってすごく滑らかに楽に声が出せているなというのが、昨年の『RIDE ON SUMMER』と比べても感じられるので、その今の声で過去の名曲をどう歌うのかってのは今回のツアーで気になったところ。
虹になりたい』あたりはライヴでも何度も聴いた曲なので、“急所”がどこか(そこが“聴かせ場”でもあるのだけれど)は頭に叩き込まれてる。そこを前田さんが朗々とクリアするたびに心の中でガッツポーズという、まるでフィギュアスケート観戦のよう【苦笑】
開演前は多少心配してたんですよ。というのも先述の閖上での収録。いわばダブルヘッダー状態だったので、その辺がいつものステージ以上に負担になっていないだろうかと……でもむしろいいウォーミングアップになっていたのかもw
そして――まさかこれがホールで聴けるとは思わなかった『十年先のラブストーリー』w TUバラ中のTUバラ、そして“ザ・噴水バラード”(略して水バラw)自分の中では明らかにスタジアムサイズの曲だと思っていたのですが、これをホールで聴ける贅沢。なのですでに前奏の段階で、その“圧”にまるですぐ後ろのドアに押しつけられるかのようでした。曲が始まれば言わずもがな。最後の最後のリフレイン、これが野外ならさーっと水が上がるところですが、その物足りなさは感じませんでした。その代わり伝わってきたのは――前田さんの、歌えることの喜び。
手術が必要な状態だったなら、もしかして今までのステージではどこか不完全燃焼な歌い方しかできなかったのかもしれない。でも手術を受け、リハビリ、リハーサル、昨年一年の活動を通して今やっとストレートに歌い上げることができる、しかもこの場には歌うのに邪魔な噴水も無いし【苦笑】――そう感じたのは店主の錯覚でしょうか? けど続く『灯台』は、記憶に残るのは手術前最後のライヴとなった横浜アリーナでのあの痛切なほどの絶唱。あれから今こうして前田さんのこの歌声が聴ける、その幸福をただただ噛みしめていました。そしてできるなら、この声をこれからももっと聴かせてほしいと。

とはいえ、昨年の野外で感じた「MCの負担軽減策」は定着しつつあるような。この日も“TUBEショップジャパン”【笑】と題してツアーグッズを通販番組風に紹介していましたが、角野さんはもともと前田さんの次に喋れる方(今ではラジオの番組を持っているほど)。で、懸念だったハルは……昨年のソロ30周年プロモーションでTVラジオにも出まくった効果が表れているのか、以前ほどのグダグダ感は薄れてきたような。これも新たなTUBEの姿、になるんですかねぇ。
レーサー・リョージの真骨頂ともいえる歌詞の新曲『VICTORY』は、赤い回転灯を使った演出が雰囲気満点。『シーズン・イン・ザ・サン』となると……そろそろライヴも終わりに近づいてきたのかと。その心は歌詞と同じ夏よ逃げないでくれそしていつまでも "みんなと" いたいのさ 
本編最後の『My sunny day』は、アルバム発売前からコーラスレクチャー動画がupされていたように、観客参加型の一曲。観客パートは最後の空見上げて 手を広げ 風感じて 走り出そう それぞれ歌詞に合わせた振り付き。主旋律についつい引きずられそうになりそうなところもありながら、自分たちがこうして楽曲の一部になって完成させるという経験は、これぞライヴの醍醐味! でもできれば野外ではガイドコーラスは外してもらえるとより雰囲気が出るような。

ここで本編終了、当然ながらアンコールでメンバーが再登場するまでTUBEコール……と思いきや、皆さん一息ついちゃったようでなんだかザワザワ。声を上げたいのは山々なんだけど……お前がコール始めりゃいいじゃん、と言われてもなかなか気恥ずかしいところ。でも、そんなところで、誰かが挙げてくれた声に一気に手拍子が。勇気をもって「TUBE!」と叫んでくれたファーストペンギンに多謝。
すると、まずリョージとキーボードの宮崎さんが登場。リョージはドラムセットにではなく、どうやら電気パーカッション(?)を叩き始めたような。そして残る3人が、背中や腰などにアルミの洗面器?のようなものを提げ、手にはサイリウムのスティック。それで自分の、そしてメンバーの洗面器?をリズミカルにアクロバティックに叩き始める。それに合わせて手拍子する客席、そのリズムは――

――タンッタンタン タンタン――

そのまま始まったのは、今回のセトリの中でも例外中の例外、唯一のアルバム曲、2003年“OASIS”収録の『WE ARE FREE』(『十年先〜』はメロメモにも入っているド定番なので準シングル曲扱いw)
確かにこの曲の2番で思いっきりフィーチャーされてるリズムだこれw ただし原曲がアコギジャカジャカのわりとアナログな感じだった一方、2017年ver. はけっこうエレクトロ。シングル曲ばかりでは確かに皆さんご存知で誰でも楽しめるけど、結局一般的なTUBEのイメージから一歩を踏み出せない。だから「TUBEっぽくないTUBE」としてやっぱりアルバム曲はどこかで入れておかないと、という構成なのでしょうか。その中でもまさかこの曲とは……店主個人にとって“OASIS”は十指に入るヘビロテ盤であり、その中でも『WE ARE FREE』はもちろん好きな曲なので、これが選ばれたのはとても嬉しいですし、しかもこの曲、もしかしたらライヴで聴いたの初めてかも【苦笑】 その年の野外でもやっていなかったので、もしかしたら……
でも、最後の最後までこの変拍子は正直ちょっときつかったw 自分、リズム感無いのバレバレ。

そしてそしての、今回実は唯一ネタバレだった『あー夏休み』(壱岐での様子を報じたニュース動画をネットで見たので)当然思いっきりPPPHに精を出したのは言うまでもなしw
最後の最後は――また次(店主にとってはハマスタ)逢える日までとの想いを込め『きっと どこかで』。でも自分にとってはすごく正反対の想い出の曲なんですよね、個人的に。いつか 解かり合える 許し合える そんな日が来る前にお別れしてしまった人がいたので。でもそのときもまだサヨナラは言いたくなかったのに……前田さんがMCで言っていた「残り1万日」という話。自分は平均寿命なんてのは当てにしていないので、まだ35だけど1万日も無いつもりで生きているつもり。それにたまたま最近、若くして亡くなったり突然死んでしまったりという話をあちこちで聞いてきたのでなおさら……一期一会だなぁって。そういう意味では今回無茶をしてわざわざTUBEのためだけに仙台に行ってきたってのも良い経験だったなと思うし、これからもそういう“武勇伝”(愚勇伝ともいう;爆)を積み重ねられた方が、たった一度の人生面白いじゃない【笑】 なので、結構いろいろしんどかったけど、それを含めて行ってよかったですし、これに味をしめて店主、またこういう無茶をやらかすかも?


TUBE Live Around 2017“迷所求跡 My Home Town”
@東京エレクトロンホール宮城 セットリスト

1.ひまわり
2.Beach Time

3.愛はメリーゴーランド
4.夏だね
5.ガラスのメモリーズ

6.f

7.湘南 My Love

8.Shiny morning

9.スタートライン

10.虹になりたい
11.十年先のラブストーリー
12.灯台

13.VICTORY
14.シーズン・イン・ザ・サン
15.夏を待ちきれなくて

16.My sunny day

  ―Encore―
17.We are free

18.あー夏休み

19.きっとどこかで


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