昨年20周年を迎えた我らがTUBE。
前作“TUBE”では20周年に相応しい“原点回帰”を示してくれましたが
さて、今年の夏はどんなTUBEを我々に見せてくれるんでしょうか?
というわけで、通産28枚目のアルバムタイトルは“B☆B☆Q”。
その名の通りさまざまなサウンドが串刺しになっている1枚ですが
それを貫く金串のようなものが、どこかノスタルジックなサウンド。
いつか聞いたことがある、しかし今までのTUBEにはなかった音。
それはもちろんタイトルチューンや『彼女は夏のデザート』、『波乗りグッとチョイス』では濃厚に匂ってきますが、それ以外の王道ナンバーでも70年代ロックの香りがそこはかとなく漂ってます。
ちなみに店主、頭の中がCity Hunter(CH)に相当侵されてるので、
そっち方面の妄言が連発しますがどうかご容赦をば。
♪B☆B☆Q♪
・・・いつの間にTUBEのアルバム1曲目ってこんなに濃くなってしまったのでしょうか?昨年の『ジラされて熱帯』然り一昨年の『海の家』然り。
かつての『浪漫の夏』や『いつかの僕よ・・・』みたいなさわやか系なオープニングナンバーはもうありえないのでしょうか?
とにかく熱い、ジットリと熱い曲です。夏の海辺でBBQやってるときみたいな。
70’sソウルっぽいサウンドが更に濃厚BBQソースって感じ。
そして毎年恒例の振りつきなんですが、今年はジラ熱よりは簡単そう。
早くLiveで踊りたい一曲。
♪サンキュー♪
一転してさわやか王道ナンバー。こういうのって安心して聴けますな。
しかしいつもの王道ナンバーと異なる色彩を添えるのは
角野氏のうねるベース。TUBEのベースは弾んでてリズミカルで
単なるリズムセクション以上の役割を果たしてると思いませんか?
このうねるベースラインがどこか懐かしい印象を与えるのが不思議。
♪チェリー♪
タイトルどおり甘酸っぱい感じのラヴソング。
前奏のギターの“キューン”って音、どういうサウンドなんだか素人の店主には判りませんが【爆】まさに胸がキュンとなる音です。
『Summer Breeze』(“OASIS”)の前奏でも使ってましたよね。
「太陽のような天使」で誰を思い浮かべたかは言わずもがな。
♪彼女は夏のデザート♪
TUBEのラテンはここ数年、本場ベタラテンとTUBE流とを行ったり来たりしているように思えるんですが、これは王道のベタラテン。
いわゆるギターメインのロックサウンドではなく、ピアノとホーンセクション全開のぱっと見本格派。
マンボ、なんでしょうか。そのままソシアルダンスで踊れそうです。
最後のサビの「情熱のキッス、愛のビンタ」を「愛のハンマー」と脳内変換したお馬鹿さんはおそらく店主だけでしょう【爆】
♪みんなガンバレ♪
初めて聴いたときに「『みんなのうみ』のカップリング?」と思ってしまいました。もちろんお子様コーラス隊もそうですが、シンプルなメロディに判りやすいメッセージといった共通点、そして『みんなのうみ』のゆったりとしたスケール感と好対照をなす快活なテンポという点でもカップリングにぴったりだったんじゃないでしょうか。
最近、表題曲しか収録されてないようなシングルも多いのですが、
それじゃわざわざ買う意味ないような気がするんですが。
だってアルバムには必ず入るわけだし。
♪ひだまり♪
前々から一部で噂のあった『プロポーズ』の続き。
一説には死にネタという噂もあってやきもきしてましたが
Angel Heart展開というよりむしろ店主のこれから書いていきたいCH世界に近い感じで一安心。
そんな個人的な妄想もあって“B☆B☆Q”の中では一番好きな曲。
若かりし日の真夏の太陽のような熱い恋心は今はもうないかもしれないけど、そのかわりに、まさしく“ひだまり”のような暖かな愛情がある。
そんな成熟した想いを歌えるほどTUBEもまた大人になったんですね。
といっても詞を書いた前田氏が実はメンバー唯一の独身(バツイチ)というのは何たる皮肉。
♪Ding! Dong! Dang!♪
そういえば今年のアルバムには昨年までのTUBEの流れである
そして『Teenage War』(“納涼”)にまで遡ることの出来る“熱さわやか”路線がありませんでしたね、この曲を除いては。
ご存知の通り昨年の盛夏シングルです
(こういう言い方ももうしなくなったような)
確かにいい曲です。ハマりました。
でも新曲を入れてほしかった、もちろん“熱さわやか”で。
♪波のバカヤロー!♪
このようなキャラは今までのTUBEの世界にあっただろうか?
今までのTUBEの歌詞の主人公たちはみな夏と海が好きで
友人たちを大切にしながらも恋愛至上主義者(もちろんラヴソングの世界だからだが)だった。
だがこの曲の「オレ」はそんな色恋に背を向けて「世捨て人、海ガラス」と言われようと波を選んだ孤独なサーファーだ。
今までTUBEの波乗りソングでは波=恋、または女性
(どっちも”乗る”モノ;爆)のメタファーだったが、
この曲では二者択一なのが極めて興味深い。
ブルースロックな感じもいい味出してます。
♪波乗りグッとチョイス♪
もしかしたらこの曲は『波のバカヤロー!』の10年後、20年後っぽい。
前作の『Surfin'ロックンロール』で「あちらこちちらミシミシと悲鳴を上げるBody」と年相応の悲哀を語ってみせましたが
今年は「40過ぎのSurfer」って・・・開き直っちゃいましたよ。
確かに今年とうとうメンバー全員大台乗っちゃいますが
ここまであからさまに年齢ネタにしちゃったのは初めてじゃないでしょうか?
でもこれって実は松本詞なんですよね。確かに歌詞カード見てみると
ヴォキャブラリーのストレートさはリョージなんですが、曲を聴いてみると
今までのリョージWorldのイメージはぶっ飛んだような。
音的には昨年のロックンロール路線から更に一歩先に進んだ、というか一歩後退したロカビリースタイル。
ホーンセクションはBloody Saxophone!5年ぶりのおひさ。
♪Your Home Town♪
『波乗りグッとチョイス』で現状を認識したら、
ちょっと来し方を振り返ってみましょうか。
今年の全国47都道府県縦断ホールツアーのテーマソングですが
店主はこのアルバムの裏タイトルチューンだと思ってます。
昨年の“TUBE”が彼等にとっての原点、
つまり“My Home Town”であるのなら
今年の“B☆B☆Q”はその原点の原点、
“Your Home Town”をめぐる音楽の旅なんじゃないでしょうか。
噴水の似合う大バラードではありません。しかし訥々と語りかけるような前田さんの歌声が心に響いてくる、そんな曲です。
♪Bad Beach Quest♪
振り返るだけじゃ何も始まらない。
そこから前を向いて動き出さなければ。
今までのTUBEにはありえなかった、ギターだけじゃなくピアノ、ホーンセクションまで重ねた分厚いハードロック・サウンド。
しかも5分26秒、長っ!いわゆる大バラード並のスケールのデカさ、
アルバム本編を締めくくるには相応しい重厚なナンバー。
しかもイニシャルは“B.B.Q”、つまりぐるっと一回りということで。
♪みんなのうみ♪
でもやっぱりアルバムはバラードで締めてもらわなきゃ、
ということでBonus Track。
音楽的な原点、というより歌うたいとして、そして海を愛するものとしての原点である童謡『海』を取り入れた、
『みんなのうた』でもおなじみの曲です。
シングルVer.ではオーケストラ・アレンジでしたが、こっちではTUBEらしいギターメインな感じに仕上がってます。

というわけで総合評価はというと★★★星3つ。
今年は外れという曲もない代わりに大当たり!というほどの曲もなく、
つまりは当り障りのない出来のアルバムだったような。
昨年の『ロケットハナビ』のように聴いた瞬間理屈じゃなく惚れた曲ってのはありませんでした。
ただ、敢えて言うとすれば「聴けば聴くほど味の出るアルバム」と言うことも出来るかもしれません。なぜなら今年のリコメンド、『ひだまり』や『Your Home Town』の良さは決して一度聴いただけでは判りませんから。
Coming out!
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