キャッツの定休日

今日は店が休みで、美樹は買い物に出掛けている。それで、俺は美樹の代わりに子守をしているのだ。

目の前には、4ヶ月になる我が子がいる。目がよく見えない俺でも、あどけない表情で笑っているのがわかる。

だいたい、俺は昔から子どもが、好きじゃないし、子どもの方も、俺にはなつかない。当然、俺には縁がない存在な訳だ。

だが、美樹と俺の子となるとまた違う。
そう‥‥こうして毎日、自分の子どもと接していくうちに、愛情は大きくなってくるのだ。

俺は、ベビーベッドで寝ている我が子を見つめながら、自分の指を、我が子の小さな手に近づけ、触れてみた。すると、その小さな手が、俺の人差し指を握ったのだ。

「 おおーっ! 」

握力など、殆どないと思っていた赤ん坊が、しっかりと握り返してくる。
それとなく、自分の指を動かしても、俺の指を離そうとしない。

それが楽しくて、さらに自分の指を揺らすと、赤ん坊にとってはそれが嬉しいのか、さっきよりも笑っている。

「 なんだ?こんなことで喜ぶのか! 」

俺は、ますます指を揺らしてみると、ますます笑顔になっていく。

“ 俺も子どもをあやせるようになったじゃないか‥‥!? ”

海坊主は何故か満足げな笑みを浮かべた。

そして今度は、我が子のよだれかけが裏返り、顔の下半分を覆っていたため、海坊主が払おうとすると、我が子が自分で払いのけたのだ。

「 なんだ? そんなことも出来るのか‥‥!? 」

海坊主は、よだれかけを上に裏返し、わざと顔にかかるようにした。
すると、またしても、我が子は、よだれかけを振り払ったのだ。

「 他の物でも試してみよう。 」

悪戯心の芽生えた海坊主は、今度はわざとガーゼのハンカチを顔一面に乗せた。
やはり、我が子は、ハンカチを払いのけた。
そして海坊主は再び、我が子の顔にガーゼのハンカチを乗せ、それを我が子が払いのけた。

海坊主は、それが楽しくて何度も繰り返しては、我が子はハンカチをそのたびに払いのけ、このやり取りが、しばらくの間、続いた。

喫茶・キャッツアイの定休日。上の部屋では、我が子の成長発達を眼前にしたパパ海ちゃんが、平穏な一日を送っていた。

Fin


海ちゃん、少しだけは目が見える設定にしてます。

子どもの成長発達って見ていると楽しいんですよー!
とくに、顔の上に布を置いて、それを振り払う動作を見た時は感動というか、面白くて、わざと何度もやってしまうんです。だいたい、5〜6ヶ月くらいからこの動作が出来るようになります。

あまり、萌えのない話かと思いますが、海ちゃんの子育て姿を書いてみました。


in memoriam